自然と共存した100年続く産業を青森の地で -appcycle(アップサイクル)株式会社-

りんごの廃棄物からヴィーガンレザーにアップサイクル

photo-ac

appcycle(アップサイクル)株式会社は青森市に本社を構えりんごのフードロスを活用した青森発りんご配合ヴィーガンレザー「RINGO-TEX(りんごテックス)」の開発・製造・販売を行なっております。
青森県はりんごの生産量が日本一であり多く収穫される一方、摘果や加工した際の皮などのフードロスの課題もあります。
この廃棄されるりんごを活用し新しいヴィーガンレザーを開発しています。
ヴィーガンレザーを青森から世界に広めていくというのが基本的な考えになります。

ヴィーガンレザーの特徴

ヴィーガンレザーは動物の皮革を使用した生地に比べて、とても軽いのが特徴です。
傷つきにくく、軽くて丈夫。そんなところがヴィーガンレザーの強みです。
動物性の生地には、それでしか出せない質感や柔らかさもありますが、ヴィーガンレザーはコストが安く汎用性も高い。
本来捨てられていた大量の“搾りかす”を再利用しているため、地域課題も解決できるという利点もあります。
生地加工の工程の中で、パートや社員といった雇用も生まれます。

お金を払って捨てていたものが価値あるものに変わり、良いものにアップサイクルされる。
そんな私たちの事業は今月から二期目に入りました。
役員1名、社員2名、プロボノという社会人ボランティア3名と、海外からのインターンも受け入れており、計12名で活動しています。

世界に認められた文化とともに、世界にエシカルを発信

東京在住の私が、青森で起業した理由

世界遺産である三内丸山遺跡は、考古学の歴史を変えるくらいの発見でした。
世界遺産に認定された一番の評価ポイントは、その倫理観や道徳観といった精神性。
三内丸山遺跡では争いの形跡がほとんど見られなかったそうです。

「作る責任買う責任」という倫理観で商品を作っていこうという流れの中で、
この青森という地で、世界に認められた文化を一緒に乗せながら世界に持って行きたい。
そんな思いがあってこの場所で創業しました。

地域課題

アップサイクルのビジネスモデルができたきっかけを教えてください

共同創業者が、りんごからできるヴィーガンレザーの存在を教えてくれたことがはじまりです。
私も色々な経験を重ねていく中で、地域課題や宗教的な考え方、LGBTQに関してなど、生きていくなかで見つけた点と点が、ヴィーガンレザーでつながったような気がしたのです。
自分の人生の折り返し地点に立った時、今後の人生をマネーゲームで生きるのか、もう一度人に寄り添った仕事をしたり、青森に貢献できることをしたりするのか考えたことがありました。
そのときに、「青森でなにをするのか。このヴィーガンレザーでなら青森に戻れる。」と決意しました。
ヴィーガンレザーは今まで経験してきた点と点がつながった、そんな製品になっています。

自然と共存 100年続く産業を

SDGsやダイバーシティーを実現し、日本と青森の一次産業によりそう。

私たちは、5期目で130億円(PL)で東証グロースに上場し、10期目で5,800億円(PL)の東証プライムを目指しています。

近年では動物愛護の観点や環境配慮の観点で、動物の使用が減ったり環境配慮レザーの利用が増えたりしています。
当社の生地素材は、ヴィーガンの人も他の人も、みんなが使えるダイバーシティーな製品を作成しています。

動物の皮や従来の合成皮革といった皮革産業には、世界で58兆円の市場があります。
皮革産業市場58兆円のうちの、せめて1%を目指そうと5,800億円達成の目標を立てています。

事業を進める中で、大変だったことを教えてください。

ヴィーガンレザーを作るにあたって、加工会社や大学、生産工場など、様々な取引先と連携しており、現在全てを提携でみなさんと共に製造しています。
相手主導で製品開発を進めていくことも多く、各自のペースに合わせた調整が非常に難しいと感じておりますが効率を図りながらも人と人との対話や共感は不可欠な要素ですので各連携先の方とのコミュニケーションは大切にしております。

自社でりんごの未来も守る

今後の目標を教えてください

りんごの生産量日本一を誇るわが県ですが、現在、青森のりんごは危機的状況にあります。
りんご農家の後継者不足の問題で、10年後には現在収穫されているりんごの約8割がなくなるといわれているのです。

自社でりんごを生産することで、青森のりんごの未来も守ろうと、来期くらいには、りんご農家事業にも進出しようと考えています。
我が社のりんごの育て方は従来のものと少し違い、まっすぐ区画に整理して、りんごの木を高い位置に設置します。
そうすることで、アメリカやヨーロッパの機械が畑に入っていけるようになり、農業の機械化をして、りんごを量産できるようにしようと動きを進めています。

青森の思い出の場所を教えてください

自然の中で育った少年時代

少年時代はよく油川地区にある「油川ふるさと海岸海水浴場」で遊んでいました。
自転車で高校に登校していると、同級生と登校時間がかぶり、人が集まってくると、そのまま海に向かってひと泳ぎしてから学校に通っていました。
他にも、田んぼでどじょうやホタルを捕まえたり、メダカを捕ったりタケノコを掘ったり、とにかく自然の中で遊んでいましたね。
また今は閉店してしまったのですが青森市の古川にある、「エルム」という喫茶店に立ち寄っていました。
大きいパフェが有名で当時、育ち盛りの私にはなくてはならないお店でした。

起業家としてのルーツでもある三内丸山遺跡

会社の創業の地として青森を選んだ理由の一つである三内丸山遺跡。
世界遺産に登録され人と人や、人と自然とのつながりの大切さを教えてくれる大好きな場所です。
歴史を学ぶ大切さに気付かせてくれたオススメのスポットです。

AOMORI STARTUP CENTER

青森駅から徒歩5分程で行ける創業支援、経営課題解決を行うAOMORI STARTUP CENTER(あおもりスタートアップセンター)。
創業時にビジネスプランの相談や金融機関から様々な方を繋いで頂いたり、またコワーキングスペースとしても利用できるので事業者同士の交流や打合せ、資料作成ができたりと今でも大変お世話になっております。
これから創業を考えている方がいたら是非、立ち寄ってみてください。

appcycle株式会社 代表取締役社長 藤巻 圭


企業名:appcycle株式会社
設立日:2022年5月26日
代表取締役社長:藤巻圭
所在地:〒038-0015 青森県青森市千刈4-2-4
事業内容:
・環境に配慮したりんごのヴィーガンレザーの製造販売
・りんご産業やりんご農家のマーケティング支援・地域の特産品の販売
・グローバル人材の育成プログラム
URL:https://appcycle.jp/

おすすめの記事