兵庫県出身の私が青森で創業した理由-アートで自己表現を手助けする株式会社0172

DTPやwebデザイン、飲食業を営む

株式会社0172は青森県平川市でDTPやwebデザイン、飲食業を行っております。
DTPとはパソコンでデザインをつくり、書籍や雑誌、ポスターやチラシをはじめとする紙媒体に印刷して形をつくることです。
ひとつの名刺から始まった事業は今や多岐にわたり、お客様の伝えたいことを表現できるよう、そのための手段としてデザインやノウハウをご提供しています。

創業までの道のり

雪国なのにどうしてこんなに『アツい』のか!青森への興味が芽生える

兵庫県出身の私が、そもそも青森という地に興味を持ったのは20歳のとき。
アメリカ留学中に当時流行っていたインターネットで、青森の「ねぶた祭」の写真を見たことがきっかけでした。
ねぶたの写真に熱い思いのようなものを感じたのです。
雪国なのにどうしてこんなに『アツい』のか。
どうしてこんなに極彩色豊かな祭りなのか。
それにこのデザインは、自分が学んでいるグラフィックデザインの基本をしっかり網羅している…。
もしかしてプロの集団がいるのではないか?と次々に疑問が浮かびました。
実際はプロ集団ではなく、絵師と呼ばれる人がおり、もとは一般の人が作ったのがルーツだそうで、ルーツが一般の人なのにこんなに絵心があって奇抜な色遣いをして…。
すごいな青森!めっちゃ熱いな!と興味を持ちました。
ねぶたの絵のはじまりを知っても、まだたくさんの疑問が残る中、実際に青森に住んでみたら色んな事わかってくるんだろうなぁと思って、その20歳の頃から青森に移住することが頭にありました。

青森への移住を決意

23歳でアメリカ留学を終えて兵庫に戻り、印刷会社に就職、結婚にこどもの誕生など、人生の大きな経験をしました。
こどもがうまれて半年、会社に勤めて3年程経った頃、「青森に移住したい。ハタチの時に感じた熱い思いを継承する時が来た!!」と思ったのです。
小学生から中学生、高校生と大きくなるにつれて、総理大臣やプロ野球選手になることの難しさや現実を知り、夢がスケールダウンしていきました。
そうやって色んな事をあきらめてきました。
移住は簡単にできることではないけど、結婚したから子供が生まれたからといって、この夢までも諦めるのか。
確かに実家の近所に暮らして、こどもを抱いて、カミさんもいて、ご飯を作ってもらってビールを飲んで…。
これでいいじゃないか。と思うこともありました。
だけど色んな夢をあきらめて、はたちの時の夢まで諦めたら、僕はあと人生何が残るんだ…。
「とりあえず、青森住もう。」と、仕事をやめ、青森までやってきました。

印刷会社勤務を歴て独立へ

来る前に探した仕事は短期間で解雇になり、次に大きな印刷会社に8年勤めました。
昼も夜もなく働き、デザインを収めたからといってどんな反響があったかもわからない毎日。
それよりも小規模でもいいから、自分で困っている人の困りごとを聞きにいき、一緒に問題点はどこか考えて、一緒に改善に向かっていくという、お客さんの顔が直接見える仕事がしたいなと思い独立を決めました。

パソコン1台、デジカメとFAX兼プリンターで事業を始める

6畳の部屋にパソコン1台、デジカメとFAX兼プリンターを置いて始まりました。
当時は、窓の外に止まっていた閑古鳥の声を口笛で真似て、追い出すことができるようになるくらい暇でした。
人に会わなければ仕事ははじまらないと、人に会う予定を入れるのですが、知り合いも少なく、営業ではなく制作の人間であった為、名刺交換をした数も少ない。
デザインなどで直接やりとりをしていた3人くらいのお客様のもとに挨拶に行って、仕事ではなく人を紹介してもらって、そこから色々なところにつながりができていきました。
似顔絵付きの名刺を入口に、段々とHP制作の仕事も受注できるようになっていきました。
そんななか、3月11日東日本大震災の発生とその影響で経済が止まり、6月に仕事がなくなり8月には資金がなくなる事態に陥りました。実家の助けを借りながら再スタートし、「潰れるときはこんな簡単に潰れるんだから、どうせやるなら面白がってやろう」と、似顔絵名刺を売りにまたスタートを切りました。
今までに3000人程の似顔絵を描いています。紹介の紹介で似顔絵名刺が広がって認知された頃、今度は趣味で描いていた岩木山の絵が世に知られることとなり、展覧会も開きました。

ハンバーガーショップの開業

2015年に始めたハンバーガーショップも、この岩木山の絵の資金がもとになりました。
バーガーはこどもの頃の憧れであり、アメリカ留学中に食べたあの味を青森でも食べたかった。
そしてもうひとつ、自分の店をはじめたきっかけに、お客様のある言葉があります。
「デザインはいいんだけど、売れるの?」
この効果性を問う質問に対して「やってみないとわからないですね」と返すことしかできず、2010年に独立してから5年間ずっともやもやしていました。
デザインはできて、お客さんにも誰にも信用されているんだけれども「売れるの?」という質問にだけは明確に答えられない。こんなことをして、10年後20年後うちはどんな事務所になっているだろう。
だったら自分でお店を作って、自分が作成したデザインとマーケティングで、自分のブランディングが効果が出ると証明しておいた方がデザイン事務所をやるにしてもやりやすくなるな。
説得力があるな。と思ったのです。
リスクになるからコンサルタントは自分の店を持たないという話も聞きますが、「当てればいいんでしょ。」と飲食店未経験ながら、自分のやってきたマーケティングや広告の仕事の知識、これまでに取材してきた400件以上のお店からの気付きを武器に始めました。

そしてこの春、4月末、弘前に大阪で本物の味を継承したたこ焼き屋さんをオープンする予定です。

脳が刺激されるような店舗運営を心がけている

店舗運営で大切にしていることを教えてください

提供する料理に合うお酒をその道のプロが生で説明をしたり、いい器や面白い器を使ったり、後ろに絵を飾ったり、脳を刺激するような工夫をしています。
飲食店も変わらなきゃいけない。
アーティストのようになっていったらいいなと思います。
そうしていくうちに原価を積み上げた売価を決める方法ではなく、いろんな努力に対する対価として払ってくれるようになりました。
付加価値をつくる工夫をしています。

平川市八幡崎地区を美術大学に、アートのキャンバスにしたい

質問:今後の目標を教えてください

平川市の八幡崎地区を、誰でも学べる誰でも体験できる美術大学に、アートのキャンバスにしたいです。
そこには農業も職も全部融合させて、大地のアート食のアート、それからキャンプや空き家を活用した宿泊など、今あるものを使ってこの町をアートフィールドにしたいです。
泥まみれになりながらすっきりして、おいしいものを食べて、心が楽になって、そうすると青森の自殺率も下がると思います。活動を通して自己表現の幅が広がることを目指します。
私はもっともっと皆が、「あつい、さむい、つらい、苦しい、楽しい」などの思いを表現できるような土俵を作りたいです。
「私の意見なんて大して価値ないから」と思っているから言わないこどももいます。
でも一緒に絵を描くなどの活動をしていくなかで、「それおもしろいじゃん!」「こんなんでいいんですか」「こんなんがいいんだよ!」というようなやり取りをしていくと、「あのね、学校でね、」と絵以外のことも話してくれるようになったこともありました。

道に迷った時も人生に迷った時も岩木山を探す

意外と岩木山に登ったことはないけれど、その代わり毎日見ています。
道に迷った時も人生に迷った時も僕は岩木山を探します。
岩木山を見ると今この町のどこにいるか分かるし、岩木山にたずねると「今もうちょっとがんばりなさいよ」などと教えてくれます。

地産地消が叶う、海産物や山菜

青森県は海産物に、山菜にタケノコに…。なんでもおいしいです。
ちょっと山で採ってきたというそのちょっとも、食卓に上がっているもののレベルも全部高いです。
特に小泊のお刺身はおいしいですね。
そんな青森で地産地消を進めていきたいです。
青森県産のものだけでハンバーガーを作るのが目標です。

井上信平 デザイナー・画家・オーナー

プロフィール

創立者。兵庫県出身。岩木山に一目惚れしたことで青森への移住を決意。
弘前市の印刷会社から独立後、デザイン事務所を経営する傍ら、飲食店をオープン。
人気店となる。
また、岩木山画家としての才能も開花させ、現在では絵画教室を通じて子供たちの豊かな感性を育てる活動も行なっている。

会社情報

会社名:株式会社0172
所在地:青森県平川市八幡崎松枝42-1 2階
TEL:0172-57-4783
URL:https://0172.jp/

運営店舗

店舗名:ユイットデュボワ 八幡崎店
所在地:青森県平川市八幡崎松枝42-1
TEL:0172-40-2838
営業時間:11:00〜15:00
定休日:金曜日
(夜は予約制)
URL:https://8dubois.com/

店舗名:Spicy & Creamy ふじさき食彩テラス店
所在地:青森県南津軽郡藤崎町大字榊和田65-8
TEL:070-4815-5853
営業時間:11:00 - 15:00
定休日:お盆・年末年始
URL:https://spicyandcreamy.com/

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