1860年の創業以来、尾崎酒造株式会社は青森・鰺ヶ沢で日本酒作りを続けてきました。
その歴史の中で、現代を代表する14代目蔵元杜氏・尾崎 大氏は、県内最年少の蔵元杜氏として役職に就き、伝統の技と現代の感性を融合させた酒造りに挑戦しています。
今回、私たちはこの尾崎 大氏にインタビューを行い情熱やビジョン、そして尾崎酒造の歴史と未来について伺いました。
この記事の目次
青森・鰺ヶ沢の酒蔵伝統を今に伝える尾崎酒造
尾崎酒造は、青森県西海岸地方で唯一の酒蔵として、長い歴史を有しています。
屋号を「若狭屋」と称し、その起源は正保〜慶安年間(1644~1652)に遡ります。
初代の五郎右工門は、若狭国(現在の福井県)から移住してきた船乗りであり、当初は海産物の仲買い商として活動していました。
その後、1860年(萬延元年)に酒造業を始め、その伝統を現代まで継承しています。
酒蔵の建物自体にも歴史が息づいています。
酒の仕込みに使用する櫂(かい)を使う際、天井が低いのが特徴です。
これは、かつて北前船で輸送される海産物の倉庫として使用されていた建物であったためと考えられます。
現在の所在地は、鯵ヶ沢町大字漁師町に位置しています。
1860年の創業から数えて、昭和28年3月には正式に会社として設立されました。
津軽藩の発祥の地としても知られるこの地域は、藩政時代からの伝統技術を今も守り続けています。
特に、世界自然遺産・白神山地の清らかな湧き水を仕込水として使用し、丁寧な酒造りを日々行っています。
尾崎酒造株式会社は、その長い歴史と伝統を胸に、次世代へと日本酒の文化を継承していく使命を持っています。
職人の技:尾崎酒造の繊細な日本酒造りの秘密
尾崎酒造は秋から冬に新たな日本酒造りの旅を始めます。
1月には新酒が製造され、その活動は春間近まで続きます。
また、11月までの間は、営業活動や各種イベントへの集荷に励んでいます。
日本酒の特徴的な製法として、麹の酵素力を利用して、お米のタンパク質を糖に変えると同時に、酵母がその糖を栄養分としてアルコール発酵を行っていきます。
日本酒の味は、気温や発酵の具合によって微妙に変わると言われています。
特に、冬に造られる日本酒は、夏場より空気中の雑菌が少ないため、雑菌による弊害が少ななく、気温も低いため発酵の調節やもろみの温度管理がしやすいため品質の高いお酒が造りやすい傾向にあります。
青森の冷涼な気候は、この理由から日本酒造りに非常に適しています。
尾崎酒造では、一度の酒造りで10,000リットル以上のお酒を製造します。
その際、瓶詰めやラベル貼りは全て手作業で行われることが特徴です。
米研ぎから最終的にお酒を搾るには、約1か月半の時間がかかり、丁寧な米研ぎや麹造り。醪の発酵をさせてゆきます。
製造は3人のスタッフで行われており、常に人手不足との戦いです。
しかし、その中で彼らが持つ情熱は計り知れません。
「お酒は血の一滴」という言葉を胸に、まるで「子供を育てる」ような愛情をもって日本酒造りを行っています。
尾崎酒造の日本酒は、その情熱と伝統が詰まった一滴と言えるでしょう。
伝説の二つの銘柄:「安東水軍」と「神の座」の魅力
尾崎酒造は、これまで数多くの商品を産み出してきました。その中でも、特に人気のある「安東水軍」と「神の座」をご紹介いたします。
安東水軍
背景
「安東水軍」の名は、12世紀後半から15世紀にかけて、貿易港「津軽十三の湊」の繁栄を築いた日本海の覇者「安東水軍」に由来しています。ラベルには、北の覇者がロマンを求めた雄大な日本海に沈む夕陽をイメージした「赤」が特徴的に使用されています。
1. 大吟醸
- 原料米:華想い
- 精米歩合:50%
- アルコール度数:15度
- 日本酒度:+1.8
- 酸度:1.4
- 特徴:吟醸の含み香とコクのある日本酒
- 価格:1800ml¥5,721、720ml¥2,913、180ml¥666(税込)
※分析値は、あくまでも目安です。
2. 特別純米酒
- 原料米:華さやか・まっしぐら
- 精米歩合:60%
- アルコール度数:15度
- 日本酒度:+2.9
- 酸度:1.9
- 特徴:すっきりとした口当たりの純米酒
- 価格:1800ml¥3,000、720ml¥1,603、300ml¥701(税込)
※分析値は、あくまでも目安です。
神の座
背景
「神の座」の名前は、大河ドラマ「秀吉」の題字を書いた俳優・森繁久彌氏が命名。
彼によれば、「神の座」とは、白神山地で神々が座してお酒を飲んでいるという意味だと言います。
1. 吟醸
- 原料米:華想い
- 精米歩合:50%
- アルコール度数:15度
- 日本酒度:+1.6
- 酸度:1.5
- 特徴:ほのかな香りと、さわやかな口当たり
- 価格:1800ml¥3,581、720ml¥1,835、500ml¥1,213(税込)
※分析値は、あくまでも目安です。
これらの製品は、尾崎酒造の伝統的な酒造り技術と、新しいアイディアが融合したものとなっています。
尾崎酒造の日本酒をまだ試したことがない方は、是非ともこの機会にご賞味ください。
未来への一歩:尾崎酒造の新たな挑戦と展望
尾崎酒造は時代の変化とともに新しい市場やターゲット層へのアプローチも積極的に行っています。
その一環として、近年の動向を踏まえた新たな展望と製品開発について紹介します。
シリーズラベルのリニューアル
尾崎酒造はシリーズラベルを定期的に一新し幅広いターゲットに認知し、親しみやすいデザインを目指しております。
伝統と革新を融合させたデザインは、尾崎酒造の歴史と未来を象徴しています。
30代をターゲットとした新製品開発
近年、30代の若い世代にも日本酒の魅力が再評価されつつあります。
しかし、多くの初心者が日本酒の選び方や味わいに迷っているのも事実です。
尾崎酒造は、この30代の初心者層をターゲットに、飲みやすさと深みを兼ね備えた新製品の開発を進めています。
日本酒初心者でも楽しめる味わいを追求し、さらに日本酒の世界への入り口としての役割を果たすことを目指しています。
青森の日本酒業界の未来を共に築く仲間の募集
尾崎酒造は、青森の若者たちを対象に、日本酒業界でのキャリアを追求するための募集をしております。
日本酒の伝統と革新を胸に、業界を変革していく若い力を求めています。
尾崎酒造とともに、日本酒の新しい歴史を作り上げる熱意を持った方々の参加を心よりお待ちしています。
尾崎酒造は、これらの新たな取り組みを通じて、日本酒の新しい魅力を伝え、さらなるファンの獲得を目指しています。
伝統を守りつつも、時代とともに進化し続ける尾崎酒造の今後の動向に、業界からも多くの注目が集まっています。
尾崎酒造のお酒を購入できる酒店と飲食店:地域別紹介
尾崎酒造の日本酒を楽しむことができる酒店と飲食店を地域別にご紹介いたします。
鯵ヶ沢
小売店
1. 安田商店
2. まつみや
3. 高井酒店(鰺)
4. 高井酒店(五)
5. 藤石商店
6. パル
7. 乳井酒店
飲食店
1. 泉
2. 水天閣
3. 鰺丸
4. ロックウッド・ホテル&スパ
5. ホテルグランメール山海荘
6. 鰺ヶ沢温泉 水軍の宿
つがる市
小売店
蟹田
小売店
1. 畑田酒店
青森市
小売店
1. 外崎酒店
2. いずみや
3. 蝦名酒店
4. かめや酒店
5. 中村酒店
6. 高橋酒店
飲食店
浅虫
小売店
1. 関商店
弘前
小売店
飲食店
三沢
飲食店
1. 星野リゾート
大鰐
小売店
1. 相馬屋酒店
十和田
小売店
1. 365
八戸
小売店
これらの酒店や飲食店で、尾崎酒造の日本酒を購入したり、食事とともに楽しむことができます。お近くの店舗で、尾崎酒造の日本酒をぜひお試しください。
日本酒のランクについて
日本酒のランクや種類は、製法や原料、添加物の有無などによって分類されます。
以下は、日本酒の主なランクや種類に関する説明です。
1. 純米大吟醸酒(Junmai Daiginjo)
- 使用する米の精米歩合(外皮を取り除く割合)が50%以下。
- 甘みやフルーティな香りが特徴。
- 添加のアルコールは使用せず、米、米麹、水のみで醸造。
2. 大吟醸酒(Daiginjo)
- 使用する米の精米歩合が50%以下。
- 純米大吟醸と同じく、甘みやフルーティな香りが特徴。
- 醸造過程でアルコールを添加。
3. 純米吟醸酒(Junmai Ginjo)
- 使用する米の精米歩合が60%以下。
- 軽やかで香り高い特徴がある。
- 添加のアルコールは使用せず、米、米麹、水のみで醸造。
4. 吟醸酒(Ginjo)
- 使用する米の精米歩合が60%以下。
- 純米吟醸と同じく、軽やかで香り高い。
- 醸造過程でアルコールを添加。
5. 純米酒(Junmai)
- 精米歩合の制限は特にないが、多くの場合は70%以下。
- フルボディで米の旨味を感じることができる。
- 添加のアルコールは使用せず、米、米麹、水のみで醸造。
6. 本醸造酒(Honjozo)
- 使用する米の精米歩合が70%以下。
- 軽やかで飲みやすい特徴。
- 醸造過程でアルコールを添加。
7. 普通酒(Futsushu)
- 上記のカテゴリに当てはまらない日本酒。
- 精米歩合の制限は特にない。
- 多くの場合、食事との相性を考慮して作られる。
8. 特定名称酒
- 上記の純米大吟醸、大吟醸、純米吟醸、吟醸、純米、本醸造など、特定の製法や基準を満たす酒。
日本酒のランクや種類は、醸造方法や原料、添加物の有無などによって異なります。
そのため、好みや用途に応じて選ぶことが大切です。
店舗情報
会社名 | 尾崎酒造 株式会社 |
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代表者 | 尾崎 大 |
住所 | 青森県西津軽郡鯵ヶ沢町大字漁師町30 |
創業 | 1860年(萬延元年) |
TEL | 0173-72-2029 |
公式サイト | https://www.ozakishuzo.com/ |
公式インスタグラム | https://www.instagram.com/ozakishuzo/ |